機械式腕時計の文字盤の赤色には、どのような意味があるのでしょう?赤い文字盤の効果は?女性向け?それとも男性向け?ノモス グラスヒュッテには、どのような赤色やピンク色の腕時計があるのでしょう?
赤色が生まれた背景
赤色の顔料は、先史時代から使われていました。研究によると、酸化鉄を含む顔料が洞窟壁画に使われていましたが、動物の皮を保存するのにも用いられていたようです。酸化鉄の赤色はやや茶色がかった色味ですが、ほかに辰砂という鮮やかな赤色を持つ鉱物も使われていました。ただ、辰砂の鉱脈は希少で光による劣化を受けやすいため、古代には屋内の装飾に、中世には本の装飾によく使われていました。巻貝から採れる貝紫色もまた、古代によく使われていた染料です。しかし、一着分の羊毛を染めるのに1万個の巻貝を使用し、さらに日光に晒す必要があったことから、紫色を着用することは権力の象徴でした。
手に入りやすい安価の染料には、植物由来の染料(セイヨウアカネから採れるアリザリンなど)や、ケルメス染料などがありました。ケルメス染料は、ヨーロッパ原産のカイガラムシから採れる染料で、代用カルミンとして知られています。本来のカルミンは、中央アメリカや南米原産のコチニールカイガラムシから採取される発色性の高い染料です。アステカ族は、特に乾燥させたコチニールを貢物として要求していたようです。16世紀半ばから、カルミンはヨーロッパに輸入され、今日でも天然着色料として口紅や食品などに使用されています。赤色の合成着色料は19世紀に作られ、今日さまざまな用途に幅広く使用されています。
高級品やファッションにおける赤色の意味
ヨーロッパでは長い間、赤色の衣服を身にまとうことは位の高い人々や、裕福な人々に限られていました。古代ローマのパトリキや貴族、裕福な市民などです。17世紀フランスのルイ14世の治世では、貴族のみが赤いヒール靴を履くことを許されていたという伝説があります。19世紀まで、ヨーロッパの貴族階級では、赤色は男性を象徴する色で、女性は青色を着用することが多かったようです。20世紀には、赤色はドレスの色として社交界で広く使われました。
1960年代には、ファッションデザイナーのヴァレンティノ・ガラヴァーニが鮮やかな赤色のイブニングガウンを発表し、その色はヴァレンティノレッドとして知られています。一方中国では、赤色は幸福の色として結婚式で着用されます。一般的に、赤色の持つ強いシグナル効果はファッションの世界で定着しており、時にアクセントとして、時に大胆な主張として使われてきました。つまり、注目されたいなら赤を着用すれば良いのです。
機械式腕時計の赤色には特定の意味があるのか
鮮やかな赤色の文字盤を持つ機械式腕時計を非常にフォーマルな場で着用するのが大胆な選択肢であることは間違いありません。しかしライトなローズや深いバーガンディーのドレスウォッチなら、十分選択肢に入ると思われます。機械式腕時計に赤色を使用する意味は特にありません。とはいえ、赤色の腕時計を着用するということは、ある種の主張なのです。ピンクや赤、ワインレッドの腕時計を着用する人は、そうした色が目を引き、目立つ色であることをわかっていて、着ている服に完璧に合わせたり、意図的にコントラストを生み出したりします。深い赤色の場合はそうした効果はいくぶん弱まりますが、深いパープルを選ぶのもまた大胆といえます。赤い腕時計を選ぶのは、性別にかかわらず、きわめて意図的なものです。
赤い文字盤の効果
赤色は、進化上の理由だけをとっても、私たちの知覚において特別な役割を果たします。赤色は血や炎、さまざまな果実の色です。脳を強く刺激し、温かさや食べ物、健康、危険などと関連があります。赤色は、神経系に明確な影響を与えるトリガーとなり、注目するよう働きかけます。赤色は、生命、愛、エネルギー、魅力、情熱、セクシュアリティ、権力、富、そしてステータスの象徴です。赤色は活気や生気を与える色です。赤色を見れば、誰もがなにか重要なものがかかっているという感覚を得るはずです。
赤色の文字盤は腕時計の視認性に影響するのか
赤色の文字盤は女性向け?それとも男性向け?
赤色の文字盤を持つ機械式腕時計は、繊細な赤、鮮やかな赤、深い赤、どんな色合いであっても人気の選択肢です。デザインの点からいえば、ピンクのトーンは小さめで上品な腕時計に使われることが多く、濃いワインレッドの色合いは直径の大きいスポーツウォッチに使われることが多いです。小さめのモデルの腕時計は女性向けを想定して作られることが多く、大きめの腕時計は男性向けに作られることが多いです。
しかし、最近では世界中の人々はそうしたルールを気にしないことも多く、そのようなトレンドはますます加速しています。特に男性の場合、赤いベルベットのタキシードなどの主張のある服装には、特に同系色の腕時計がよく合います。たとえばテトラのローズカラーの文字盤は、スーツにパステルカラーのシャツを合わせて着用するノモスの男性のお客様に特に人気です。赤い文字盤はどのような場合でも、手首の上で主張します―性別は関係ありません。
赤い文字盤を持つ機械式腕時計の種類
赤い文字盤は、スポーツウォッチからドレスウォッチに至るまで、あらゆる用途の機械式腕時計に使われています。鮮やかな赤色でラッカー塗りされた文字盤やローズトーンの腕時計、装飾仕上げのエレガントなワインレッドの腕時計など、赤色の腕時計にはさまざまな個性があります。赤という色そのものと同じように、どのようなデザインでも注目の的となることは間違いありません。ノモス グラスヒュッテでは、繊細でエレガントなモデル、スポーティなモデル、堅牢なモデルなど、さまざまな赤色の腕時計をご用意しています。
赤色の文字盤はどんなものにも合うのか
赤色などの目を引く色の文字盤は、機械式腕時計の買い取り価格に影響するのか
赤色の腕時計を購入する方は、白や黒の文字盤を持つ腕時計を購入する方よりも少ないでしょう。しかし、赤色の文字盤を持つ機械式腕時計は数も少ないため、探すには工夫が必要です。赤色の限定モデルは投資にもなるでしょう。数年経って違う色の腕時計が欲しくなり、赤色の腕時計を手放したくなった時、ノモス グラスヒュッテなら文字盤の色を変更することもできます。ディープピンクのクラブ・キャンパスを白色の文字盤に変えることも、もちろんその逆もまた可能です。
赤色の文字盤はどのように作られるのか
ノモスが色付きの文字盤を製作する際、電気めっき方法をよく使われます。この方法は、特に均一な色を出すことができ、文字盤の耐食性にも優れていることが特徴です。ただし、赤色のトーンを作る場合、電気めっき(電解槽に金属粒子を析出させる方法)ではローズまたは赤銅色の色合いしか出すことができません。
より濃い赤色を作る場合はラッカー塗装やエナメル加工が必要で、これにはブランク加工された真鍮やニッケルシルバーが使われます。色によっては、ニュアンスを正しく定着させるため、ブランクを磨いてブラスト仕上げを施す場合もあります。さらに、特別な光沢を与えるため、色を付ける前にシルバーやゴールド、ロジウムめっき加工をブランクに施す場合もあります。こうした貴金属はさりげない輝きを与え、文字盤の色の奥から輝きを放ちます。
赤色の文字盤を持つノモス グラスヒュッテのラインナップ
ノモス グラスヒュッテでは、さまざまな赤色の文字盤を持つ機械式腕時計をご用意しています。ラインナップはこちらです。
- ノンストップレッド
大胆に主張する気ままな色。若々しく自信に溢れたノンストップレッドは、クラブ・キャンパスをお求めのあなたのように、目標に向かって突き進み、確実に成果を手にする人にぴったりです。
- ミュートレッド
温かみのある落ち着いたレッド。れんがや煙突にも似た色合いは、都会的でもあります。スタイリッシュでありながらもほっとする温かなミュートレッドは、心を休めてくれます。メトロ 33など、あらゆるサイズのドレスウォッチに最適です。
- ディープピンク
エモーショナルでありながら、エネルギーに満ち溢れたカラー。際立つピンクは、忙しい日々に忘れてしまいがちな遊び心を加えます。この先何年も、手首の上でぱっと輝くカラーです。クラブ・キャンパスのみの展開。
- クリームコーラル
レッドに見えますか、それともオレンジ?レッドとオレンジの良いとこ取りのクリームコーラルは、あらゆる肌の色を引き立たせ、どんな場面にも似合います―ただし、黒い蝶ネクタイ以外なら。
- ローズ
繊細でありながら存在感のある、ひときわエモーショナルなローズ。シルバーのジュエリーと合わせれば間違いありませんが、ゴールドのジュエリーと合わせても遊び心を演出します。四角い文字盤を持つテトラのような、個性的な腕時計にお似合いのカラー。
- ヌード
赤色、といっても非常にライトなピンク色は、とてもナチュラルなトーンで大胆さはありません。最も落ち着きのある、控えめでエレガントな日常使いにぴったりのカラー。